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AI産のメール攻撃に対抗する「アウェアネス型」の対策とは?

2025.12.01 2025.12.01

こんにちは。株式会社クオリティアです。

生成AIの進化は、業務効率化だけでなくサイバー攻撃の世界にも変化をもたらしています。
AIが生み出す自然な日本語のメールや巧妙な詐欺文面は、人間の目でも見破るのが難しくなりました。本ブログでは、急速に増える「AI産メール攻撃」の実態と、それに立ち向かうための新しい防御の形を解説します。

AIで変容するメール攻撃の姿 

ChatGPTやGemini、Copilotといった生成AIの登場からわずか数年。テキスト生成だけでなく、画像・動画・音声・資料作成など、AIはビジネスのあらゆる領域に浸透しました。
誰でも瞬時に「自然な日本語文」を生成できるようになり、業務効率化や生産性向上に大きく貢献しています。

一方で、この「AIの進化」は攻撃者にも強力な武器を与えてしまいました。本来は生産性向上のために生まれた技術が、攻撃の自動化・高速化・巧妙化を加速させているのです。

攻撃の流量は爆発的に増加

Proofpoint社の調査によると、2021年から2025年2月の間に、世界で確認された新種メール脅威は約15倍に増加しました。さらに驚くべきことに、その約8割が日本をターゲットにした攻撃と報告されています。

これまでは英語圏中心だった攻撃が、日本語の自然な文面で送りつけられるようになり、
「海外発だから文体で見抜ける」という従来の防御感覚が完全に崩壊しています。AIは言語の壁を容易に突破し、たとえ外国人攻撃者でも「自然な日本語の社内メール」「営業文面」「請求書連絡」を即座に生成できます。結果として、攻撃の質も量も同時に跳ね上がっているのです。
メール攻撃のグラフ

AIがもたらす“人間らしい”攻撃文面

従来のスパムメールには、誤字脱字や不自然な日本語が多く、「怪しい」と気づける余地がありました。しかし、生成AIはこれを一掃しました。

最近では以下のようなケースが多発しています。

✓取引先の担当者を装った、文体までそっくりなメール
✓実在する社名・署名・電話番号を自動収集して偽装
✓社内の過去メールを解析し「上司の書き方」を真似る攻撃

AIは膨大なテキストデータを学習しているため、「その人らしい言い回し」や「業界特有の言葉遣い」を自然に再現できます。つまり、人間の感覚では不自然さを見抜けない段階に達しています。

AIがもたらす“新しい攻撃パターン”

さらにAI技術の進化により、メール攻撃は単体ではなく「マルチチャネル化」しています。

1. マルチチャネル型攻撃
メールだけでなく、音声やSNS、チャットツールなど複数ルートを連携させる攻撃。
AI音声合成を使って「電話で本人確認」を装い、信頼を獲得してからウイルス付きメールを送るケースも登場しています。

2. 会話型攻撃
AIがチャット形式でやり取りを続け、「返信メール」を自動生成して信用を深めていく手法。
人間のようなタイミングで返答するため、システム検知をすり抜ける危険性があります。

3. 暗号化ファイルを使った回避型攻撃

AI産メール攻撃に対抗する術 

では、このような“AIが生み出す攻撃”に対して、どのように立ち向かえばよいのでしょうか。
まずは、従来型の防御手法を改めて見てみましょう。

「パターンマッチング型」の限界

パターンマッチングは、世界中で報告された攻撃メールの特徴をリスト化し、類似メールをブロックする伝統的な防御手法です。

ただし、AIが生み出す攻撃は“毎回違う”ため、リスト登録の前に新種が次々と登場します。
AIによる「ノイズ付き変化」や「パラフレーズ(言い換え)」によって、検知ルールの更新が追いつかないのです。つまり、既知の攻撃には強いが、未知の攻撃には弱い。AI時代には、この前提そのものを見直す必要があります。

「サンドボックス型」の課題

サンドボックスは、添付ファイルを仮想環境で実行し、「怪しい振る舞い」を検知する仕組みです。

しかし、暗号化ファイル(ZipやOfficeパスワード付きファイル)は解析できず、AIが生成した巧妙な圧縮形式や暗号方式には検知が届かない場合があります。攻撃者は、こうした「検知の盲点」をAIで学習・最適化しており、システム対策単体では限界があるのが実情です。

「人」と「システム」の協調がカギに

AIが生成する攻撃は、日々進化し続けます。そのスピードにシステムだけで追いつくことは不可能です。
だからこそ、いま求められているのは「人とシステムが連携する“協調防御”」です。

クオリティアが提唱する「アウェアネス型」対策とは

「アウェアネス(Awareness)」とは「気づき」のこと。受信したメールの中に潜む“違和感”にユーザー自身が気づけるよう、怪しいポイントを可視化する防御手法です。

たとえば:

✓メールの送信経路(どの国・サーバーを経由したか)を可視化
✓差出人情報と実際の送信サーバーを照合し、違いをハイライト表示

これにより、ユーザーが「これは怪しい」と判断しやすくなります。つまり、AIのように“完璧に偽装されたメール”であっても、「見た目以外の要素」で気づけるようになるのです。

メール送信経路を可視化

この「アウェアネス型」は攻撃者が偽装しない部分、そしてメールの送信経路などAIでも偽装が難しい部分に着目した対策でもあります。

三位一体の防御モデル

AI時代のメール攻撃防御に求められるのは、次の三層構造です:

パターンマッチング型:既知攻撃を即時ブロック
サンドボックス型:未知の攻撃を検証・遮断
アウェアネス型:人が「怪しい」と気づく支援

三位一体の防御モデル

この三位一体の体制が揃って、初めてAI産メール攻撃への耐性が生まれます。

まとめ:三位一体の防御モデルを実現する「Active! zone SS」

クオリティアが提供する標的型メール攻撃対策サービス「Active! zone SS」は、まさにこの三位一体の防御モデルを実現します。

●サンドボックス検知による脅威のブロック
●暗号化ファイル解析による回避型攻撃の捕捉
●国名表示・送信経路可視化機能による「アウェアネス」支援


クラウド上でこれらの機能を一元的に利用でき、“届く前に止める”“届いても気づける”という二重の防御を構築できます。
Active! zone SSについてはこちら
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